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くも膜下出血





くも膜下出血の概要


 脳は外側から硬膜、くも膜、軟膜と呼ばれる膜で覆われており、くも膜と軟膜の隙間をくも膜下腔と呼び、この部分に出血した状態がくも膜下出血です。
 くも膜下出血は、欧米よりも日本に多く見られる病気で、男性より女性に多く発症します。主な危険因子は、高血圧、喫煙、過度の飲酒です。予後不良となることも多く、統計上、社会復帰できる可能性は20〜30%程度であり、死亡率も高い疾患です。



くも膜下出血の原因


 80%以上が脳動脈瘤の破裂によります。そのほか、脳動静脈奇形、脳動脈解離なども原因となりますが、原因不明の場合もあります。





くも膜下出血の症状





 一般に、経験したことのない「突然の激しい頭痛」が生じると言われていますが、出血が少ない場合は、軽い頭痛や嘔気、めまいなどを自覚する程度のこともあります。出血が多い場合は、突然昏睡状態となることもあります。





くも膜下出血の診断


 発症早期であれば、CTで90%以上診断可能です。発症から時間が経過している場合や出血が少ない場合はCTで検出できないこともあり、MRIや腰椎穿刺(背骨の間から針を刺し、脳脊髄液を採取して血液の混入の有無を調べる検査)を行うことで診断する場合もあります。



頭部CT


頭部MRI


血性髄液





くも膜下出血の治療


 前述のように、原因のほとんどが脳動脈瘤の破裂であり、再破裂(再出血)すると予後が極めて不良となることから、まずは、鎮痛薬、鎮静薬、降圧薬を用いて安静を保ちつつ血圧を下げ、脳動脈瘤を見つけて再出血を予防する手術を計画します。
 脳動脈瘤を見つける検査として、造影剤を用いたCTや脳血管撮影検査を行います。脳動脈瘤が見つかれば、その場所、大きさ、形、症状の重症度に応じて、治療の適否や治療法を決定します。








 くも膜下出血の重症度は主に意識レベルにより5段階に分類されており、最重症度の状態では手術は行わずに経過を観察し、症状が改善すれば手術を考慮することが一般的です。





くも膜下出血後の合併症


 くも膜下出血後には、脳が異常に興奮してアドレナリンが大量に放出され、全身臓器に大きな負担が生じ、生命に関わる重篤な合併症が生じることがあります。また、くも膜下出血に特有の以下の脳合併症が生じることがあります。




①脳血管攣縮


 脳血管攣縮とは、くも膜下出血後、数日〜2週間以内に発症し、2~4週間持続して徐々に回復する可逆性の脳血管狭窄です。これによって脳血流が低下した領域は脳梗塞に陥る可能性もあり、後遺症の原因となります。脳血管攣縮の予防、治療として、血管拡張薬の投与、大量輸液、血圧維持などを行いますが、狭窄が高度の場合や、症状が出現した場合には、血管内手術による血管拡張術を行うこともあります。


脳血管攣縮が高度

バルーンカテーテルを用いた血管拡張術後




②水頭症


 脳内を循環している脳脊髄液が、くも膜下出血によりうまく循環できなくなり、脳内に貯留してしまう状態を水頭症と呼びます。くも膜下出血後、すぐに生じる急性水頭症と数週間以上経過してから生じる水頭症がありますが、明確に区別できないこともあります。急性期には、頭や背中から細い管を挿入して脳脊髄液を体外に排出する髄液ドレナージを行います。また、慢性的な水頭症となれば、脳脊髄液を腹部や血管内に誘導する管を埋め込む髄液シャント術を行います。シャント術には以下の種類があり、それぞれの患者さんに適した手術法を選択します。

①脳室腹腔シャント術
②脳室心房シャント術
③腰椎腹腔シャント術