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脳動脈瘤



脳動脈瘤とは

瘤とは「こぶ」のことであり、脳の動脈にできた「こぶ」が脳動脈瘤です。これらは正常な血管構造ではなく、動脈の壁が徐々に膨らんで形成されます。
無症状であるため、発見される場合は、脳ドックやその他の目的で行ったMRIなどで偶然に診断されます。このように偶然に発見されるもの、つまり破裂していない(出血していない)状態のものを未破裂脳動脈瘤といい、これは成人の約4%に見られると言われています。

脳動脈瘤の問題点

単に動脈瘤が存在するだけでは一般的には症状はありません。時に脳神経の近くに存在して、その神経を圧迫するような動脈瘤の場合には神経の麻痺症状が出ることがあります。
この動脈瘤が問題になるのは、もしも破裂した場合にはくも膜下出血という重篤な疾患を起こす点です。くも膜下出血は約半数が死亡または重篤な後遺症を残す脳血管障害(脳卒中)です。破裂した場合には、救命のために発症当日から数日内に手術が必要になります。

脳動脈瘤破裂の危険性

人間の体に起こりうる現象は概ね同様ですが、脳動脈瘤が破裂する可能性もまた個別に明確な数字で言い当てることはできません。これまでも国内、海外でも統計学的な調査がされており、一般的な数字は出されています。報告に多少の差はありますが概ね近い認識と考えていいと思われ、未破裂脳動脈瘤の破裂は全体で年間1〜2%程度と考えられています。日本からの報告では(UCAS Japan(2012年))、未破裂脳動脈瘤の年間破裂率は0.95%とされ、サイズが大きくなるにつれて破裂率が増す、形状が不整で動脈瘤に微小な膨隆(bleb)があるものは破裂率が増すという点と、動脈瘤の部位によって差があり、前交通動脈瘤、後交通動脈瘤、脳底動脈瘤は破裂率が増す傾向にあるとされています。
破裂に関与する要因として報告されているものとしては、サイズが大きい、症候性(動脈瘤によって症状が出ているもの)、年齢、女性、動脈瘤が複数ある、くも膜下出血の既往、喫煙、家族歴にくも膜下出血がある、不規則な形状、bleb(動脈瘤にある微小な膨隆)の存在が挙げられています。まれな大きさですが、25mm以上と大きいものにもなると年間破裂率は約40%とされています。
動脈瘤が診断された場合も、他の疾患と同様に、まずは高血圧治療、禁煙など、生活習慣病治療といった一般的な健康管理が重要です。しかし、動脈瘤がこれらの内科的治療によって縮小、消失することはなく、破裂を未然に防ぐための予防治療を行う場合には手術が必要になります。現在、その方法には、開頭手術(外科治療)、血管内治療(カテーテル治療)があります。手術をしない場合でも、大きさや形状の変化を観察するために定期的な検査を受けていただくことが推奨されています。当院でも手術を希望されない場合は、6ヶ月から1年で定期的なMRIを受けていただくようにしています。
先に述べましたように、脳動脈瘤は均一な病態ではなく、動脈瘤の部位、大きさ、形状など様々な要素があり、さらに年齢、過去に患った疾患、現在治療中の疾患などもふまえて、手術を受けるかどうか十分な検討をすることが必要です。治療には危険性、合併症も伴います。治療により得られる効果とそれに伴う合併症と、いずれも考えた上で希望される場合に行うべきと考えます。

図) 約15mmの大きめの脳動脈瘤

図) 動脈瘤の先端に膨らんだ部分がbleb

脳動脈瘤発生の原因

血管に以下のような変化が生じ、動脈瘤が形成、増大すると考えられています。

  1. 血管壁の遺伝的脆弱性
  2. 血圧、血流のストレスや瘤の増大による壁の薄さなどの力学的要素
  3. 動脈硬化、炎症、喫煙による血管壁の障害などの生理・病理学的要素

これらの要素が関与していますが、これらを来たす要因もまた様々であると推測されます。
1の血管壁の遺伝性脆弱性に関しては、多発性嚢胞腎、Ehlers-Danlos Ⅳ型、Marfan症侯群、神経線維腫Ⅰ型、α-1 antitrypsin欠損症といった疾患に合併しやすいと言われています。くも膜下出血の家族歴やこれらの遺伝性疾患の存在から、徐々に動脈瘤に関与する遺伝子も明らかになってきていますが、発生の原因は遺伝による一元的なものではありません。他に環境生活因子として、動脈硬化、高血圧、喫煙、大量のアルコール摂取などが後天的に発症率を高めると考えられています。環境生活因子は特に動脈瘤に限った問題ではないため、健康的な生活習慣はすべての疾患の予防に重要です。

脳動脈瘤の治療

生活習慣病をはじめ、健康管理は重要ですが、他に内科治療を行っても、脳動脈瘤が消失や縮小することはありません。破裂を防止するためには手術を行います。
脳動脈瘤の破裂防止のための手術には以下の方法があります。

開頭手術

開頭、つまり頭部の皮膚を切り、頭蓋骨を開けて、顕微鏡下に脳の隙間を分けて、動脈瘤に到達します。動脈瘤の根元にクリップをかけて、動脈瘤内に入る血流を遮断する方法で、これを開頭クリッピング術といいます。古くから行われている手術であり、方法として確立されています。

血管内治療

鼠径部や肘の動脈からカテーテルという細く柔軟な管を入れます。カテーテルの中にさらに細く、より長いカテーテルを通し、その中にさらに細くて、より長いカテーテルを通して、それを脳血管内に進めて行き、動脈瘤の中までカテーテルを入れます。そのカテーテルの中から動脈瘤内にコイル(細い糸状の金属性の物質)をつめて、中から閉塞させます。この方法をコイル塞栓術といいます。その他、動脈瘤の入り口が広い場合には、入れたコイルが出てきてしまう恐れがあり、そういった場合には、3~7mmの微細なバルーンがついたカテーテルで入り口をふさぎながらコイルを入れる、また、コイルが出てこないようにステントという金属性のメッシュ状の筒のような器具を用いて行います。カテーテル、コイル、バルーン、ステント、より鮮明な画像を作る血管撮影の機械など、器具の進歩によって、以前は開頭手術でなければ困難であったものも、血管内治療で実施できるようになり、血管内治療の件数は増えているといえます。どちらがより優れた方法かという議論もされ、現在も成績が比較されることがあります。しかし、いずれも有用な方法であり、個々の動脈瘤の性質を分析し、症例ごとに、より適した、より危険度の低い治療を選択することが重要です。

出典元:日本ストライカー株式会社

出典元:日本ストライカー株式会社

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