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脳動脈瘤コイル塞栓術


 


図1:coilのさまざま


図1:coilのさまざま

【 図 1 】
出典元:日本ストライカー株式会社

いろんな種類があり、これらの中から適切なサイズ、長さのものを選択して使用します。

図2:血管内治療

 

図2:血管内治療

【 図 2 】画像提供:テルモ株式会社


図2:血管内治療

【 図 2 】



【 図 2 】




動脈瘤の中にcoilをつめることによって、内部に血栓化を促し、動脈瘤を固める治療。



図3:coil塞栓術の手順


図3:coil塞栓術の手順

【 図 3 】


Coilは瘤体積の30-40% ⇒ 残りは血液がその隙間を埋めて血栓化。瘤内をcoilと血液(血栓)で固めてしまう治療ともいえる。



図4:coil塞栓術の特性



図4:coil塞栓術の特性

【 図 4 】



従って、瘤外で血栓が過剰にできることを防止するために、抗血栓薬(脳梗塞の患者さんが飲んでいる、血栓予防薬)を一定期間服用することが必要です。

血栓(矢印)が正常血管へ流れてしまうと「脳梗塞」という合併症となってしまうので、それを回避するためです。

図5:coilの入った状態で開頭手術をした画像

 

図5:coilの入った状態で開頭手術をした画像

【 図 5 】



Coilを入れた動脈瘤内に暗赤色のものが見えます(黄色矢印)。正常血管は赤ピンク色なので(赤矢印)、瘤内に血栓があるということがわかると思います。

これらのcoilと血栓は、時間をかけて瘤の内側を固めるので、動脈瘤に新たな血流が入らず、従って破裂しないという理屈です。

図6:どんな風に行うのか? 1

図6:どんな風に行うのか? 1

【 図 6 】



まず、動脈瘤がみやすい角度の画像を撮影します(矢印が動脈瘤)。その際、より動脈瘤を立体的に見るため、2つの方向から撮影を行い、安全な治療が可能なようにします(bi-plane撮影)。
上の図で赤く記した箇所がちょうど動脈瘤と正常血管との境界を指します。ここを、動脈瘤の頚部 (neck)といいます。Coilをつめるのですから、正常血管にcoilがはみ出さない為には、瘤と正常血管とを分離できる角度がとれないと難しいということがわかります。

図7:どんな風に行うのか? 2

図7:どんな風に行うのか? 2

【 図 7 】

治療用のカテーテル(赤矢印)を頚部の高さまで誘導します。動脈瘤は黄色矢印になります。続いて、必要な場合は中間カテーテル(赤2重矢印)というものを右図のように、より動脈瘤に近い部位まで上げます(左図だと、同様に赤2重矢印の位置)。これらは、治療用のカテーテルを安全に使用するために用いられます。

これらは、coilを入れるために使用されるmicrocatheterを誘導するのに重要なステップです。

図8:どんな風に行うのか? 3

 

図8:どんな風に行うのか? 3

【 図 8 】



治療用のカテーテル(microcatheter)を瘤内へ誘導します。Microcatheterの先端にはマーカーがついており(赤矢印)、透視下(X線)で確認ができます。

Microcatheter先端の手前にある黒い線は、microcatheterをあげる際に使用するwireです(黄色矢印)。

図9:どんな風に行うのか? 4

 

図9:どんな風に行うのか? 4

【 図 9 】

ここまでの準備ができたら、Coilを慎重に挿入します(矢印)。Coilは左図のように見えます。いろんな形状や多くの種類があり、動脈瘤のサイズなどを参考にして、適切と思われるものをその都度選択して使用します。

動脈瘤全体積の30-40%くらいになるまで、coilを順次追加し、血栓化が安全に促されるように配慮して行います。

図10:どんな風に行うのか? 5

図10:どんな風に行うのか? 5

【 図 10 】


2つの角度で、塞栓の推移を見ています。徐々に内部がcoilで埋まっていることがわかります。最初瘤の内腔に見られていたmicrocatheter先端が、最後になると瘤頚部から外に出ていることがわかります。

図11:どんな風に行うのか? 6

 

図11: どんな風に行うのか? 6

【 図 11 】


【 術前 】


図11: どんな風に行うのか? 6

【 図 11 】


【 術後 】

術後の画像で動脈瘤が消失していることがわかります(青、黄色矢印)。ただ、右を見るとcoilにはまだ隙間があります。この隙間を埋めているのが新たにできた血栓である、ということになります。造影剤が瘤へ流入しないので、血液の流入がないということになり、「破裂しなくなる」ということになります。

図12:瘤頚部の広いケース 1


図12:瘤頚部の広いケース 1

【 図 12 】


ただ、上図のように頚部の広い瘤だと、入れたcoilが右のようになってしまい、正常の血流を妨げ、右図のようになってしまうと血流が途絶して血栓性合併症を引き起こす可能性があります。

図13:瘤頚部の広いケース 2


図13:瘤頚部の広いケース 2

【 図 13 】

頚部の広い場合、coilの逸脱を避けるため、バルーンという道具を頚部で膨らませ、それを支えにしてcoilを入れ、塞栓が終わったらバルーンを抜去して終了という方法があります。


【 図 13 】
出典元:日本ストライカー株式会社



図14:瘤頚部の広いケース 3


図14:瘤頚部の広いケース 3

【 図 14 】

バルーンでの対応が困難な場合、ステントという特殊器材を血管に入れ、それを支えにしてcoilを入れるという方法があります。この場合、ステントは置いたままとなります。特に害があるわけではなく、方法として認められた方法です。


【 図 14 】
出典元:日本ストライカー株式会社



図15:血管内治療で必要なお薬(抗血栓薬)


図15:血管内治療で必要なお薬(抗血栓薬)

【 図 15 】


脳血管内治療では、血栓性合併症を防ぐ為、抗血栓薬を内服することが必要です。表に示すように、通常は手術2,3週前から開始し、術後1~3ヶ月で終了します。ステントが必要なケースでは、多くの先生方が術後1年抗血栓薬2剤を継続しているという現状があり、当院でもそれを踏襲しています。ステント使用例では、1年目から減量を開始し、数ヶ月かけて終了へ持ってゆくことにしています。お薬を内服する期間に関して決まったエビデンスはありませんが、経験則からこのようにしています。多くの施設が同様のスタンスであると思われます。「抗血栓薬」とは、脳梗塞の患者さんが再発防止に内服しているものと同じです。もともとそれらのお薬を飲んでいる患者さんの場合は、それを継続しつつ合計2剤ということになりますし、すでに2剤内服している方であればそれを継続するということになります。

現在の脳動脈瘤塞栓術


未破裂動脈瘤と破裂動脈瘤(クモ膜下出血)とで分けて考える必要がありますが、
Coilの進歩とともに、カテーテル、バルーン、ステント、すべての器材が進化しており、3,4年前に困難だったケースが可能になることも見られています。当施設では現在、未破裂は1:9、破裂は3:7で血管内治療が多くなっています。開頭でなければできないと思われたケースでも、工夫次第で血管内治療で可能な場合が多くありますので、ご相談下さい。

ただあくまでも、血管内治療>開頭手術と言っているのではありません。開頭術が適切であるケースもあります。未破裂瘤の場合は特に、同じ結果が得られる公算があれば、血管内治療で行うというスタンスで行っています。