グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



トップページ >  脳血管内治療 >  頚動脈狭窄治療・頚動脈ステント留置術

頚動脈狭窄治療・頚動脈ステント留置術


頚動脈にカテーテルを通し、そのカテーテルの中から狭窄部分にステントという金属性の網目状の筒を入れて、内側から拡げる方法です。
当院では全身麻酔で行います。
鼠径部や肘の動脈からカテーテルという管を入れ、大動脈を通って頚動脈まで進めます。主に鼠径部から行うことが多いと思います。頚動脈に留置するカテーテルは、この後に必要な道具を出し入れする、誘導する(guide)ための第一段階であり、ガイディングカテーテルといいます。
狭くなった血管を拡げるのが目的ですが、拡げる操作によってプラークは機械的に刺激されてつぶされ、押し拡げられます。この時にプラーク、血栓が搾り出されて、脳血管に流れていけば脳梗塞を起こしてしまいます。
頚動脈狭窄は血栓による遠位塞栓を防ぐこと、血流を増すことが目的ですから、治療中も遠位塞栓を防ぐことが必要です。よって次に、末梢にプラークや血栓を流さないための道具の準備を行います。これには3つの方法があります。

1 フィルタープロテクション
2 バルーンプロテクション
3 プロキシマルプロテクション(狭窄の手前での血流を遮断する)

1 フィルタープロテクション

先端にフィルターが細く閉じ込められたカテーテルを入れ、狭窄の遠位に通し、そこでカテーテルを回収するとフィルターが開きます。これによって血栓が流れてきた時にフィルターが捕らえることができます。

2 バルーンプロテクション

先端にバルーンがついたカテーテルを入れ、狭窄の遠位に通し、そこでバルーンを拡張させて遮断します。遮断している間、血栓はその先に流れていくことはありません。すべての作業を終了する前にバルーンの手前に搾り出されたであろう血栓をガイディングカテーテルから注射器で吸引して除去します。十分に吸引したところでバルーンをしぼませて血流を再開します。確実な血栓を含んだ血流遮断ができますが、その間はその先の脳血流は止まっています。他から補われる側副血行路の存在が必要です。

3 プロキシマルプロテクション(狭窄の手前での血流を遮断する)

狭窄部の近位(手前)でバルーンを膨らませて血流を遮断し、その間に作業を行うものです。バルーン付きのガイディングカテーテルを用います。遮断が得られる場合には有効ですが、遮断したように見えてバルーンでは塞ぐことができない部分の別な血管からわずかな流れが入ってくるような場合には遠位塞栓を起こすことがあります。確実な血流遮断を得ることが必要です。

次に狭窄血管を拡げる作業に移ります。ガイディングカテーテルの中を通して、順次、必要なカテーテルを出し入れします。まずは前拡張といい、バルーン付きのカテーテルを通していき、狭窄部を拡げます。
バルーンカテーテルを回収し、ステントを入れます。ステントは本来、自己拡張能を持っており、カテーテルのなかに押し込められた状態で存在しています。この鞘を引くことによって、先端からステントが開放されて順次拡がり、ステントが展開されます。そしてステントを収納していたカテーテルを回収します。
次にさらにステントを圧着させるために後拡張を行います。同様にバルーンカテーテルを通し、拡張します。

ここまでがステント留置に必要な流れですが、各工程において、注意点、危険性があります。

1 遠位塞栓

これは治療中の全過程で起こりえます。それを防ぐための道具を先述しましたが、それでも隙間を通り抜けるものも時にあり得るため、治療に伴って脳梗塞を起こすことがあります。症状はなくても術後に微小な脳梗塞が確認されることは、約50%で見られます。

2 遮断による虚血

側副路の存在があったとしてもバルーンで遮断している間は血流が止まっているため、一時的な脳血流不足になることがあります。

3 徐脈、低血圧

頚動脈が拡げられると、神経の反射がおきて脈拍、血圧が下がることがあります。
術後も低めの状態で続くこともあります。

4 プラーク逸脱

ステントは網状の筒ですが、拡がったステントの網目からプラークがはみ出てくることがあります。その場合、バルーンで拡張して搾り出す、ステントをさらにもう一枚追加して網目を細かくするといった方法があります。

5 ステントがずれる

狭窄を含め、血管の径は均一ではなく、ステントの位置ごとに拡がり方に違いがあります。血管にかかる力にも差があり、それによってステントの位置がずれることがあります。

6 拡張不十分

動脈硬化によって石灰化が強い場合は血管が固いため、理想的に拡がらないことがあります。

7 過灌流

狭くなった血管を拡げて血流を改善するのが目的ですが、血流が少ないこと状況下で脳の血管は少しでも血液を増やそうとして拡張した状態になっています。高度狭窄で側副血行路が少ないほど虚血状態が強く、脳血管もそれを代償しようとして拡張しています。そこで狭窄が解除されて血流が増加すると、目的を達成できた反面、流れすぎてしまう影響が出ることがあり、脳出血、痙攣発作を起こすことがあります。術前にその危険性が高いと判断した場合は、術後、数日、全身麻酔管理を続けることがあります。

8 急性閉塞

プラークの逸脱とも関連しますが、術中、数日で、急にステントの中に血栓が形成され、閉塞してしまう状態です。

9 穿刺部合併症

検査用のカテーテルと異なり、頚動脈ステント留置術に必要なカテーテルは約3mmあります。これが血圧の高い動脈に入るため抜く際には動脈に孔があいています。これを圧迫や止血用の器具を用いて塞ぎますが、数日~1週間で血腫の形成や穿刺部に動脈瘤を形成することも稀にあります。

10 長期的な再狭窄

急性ではありませんが、いったん拡張したものの、長期経過でまたステントの中が狭くなることがあります。バルーンによる拡張やステントの追加などが行われる場合があります。
治療前から抗血小板薬は2種類を服用し、術後3~6ヶ月で1種類にして継続します。