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トップページ > 三叉神経痛

三叉神経痛



片側の顔面に突然の痛みを感じる疾患です。アイスクリームなどの冷たいものを食べた時に感じる、ツーンとくる痛みは舌咽神経の刺激と言われていますが、三叉神経は顔面の知覚を司っているので、会話、食事、歯磨き、男性なら髭剃り、女性ならばお化粧、などの際に痛みが強いためにそれらの行為ができなくなる、というのが典型的です。





三叉神経は3枝あり、 上から順に額、頬、下顎を支配していて、主に後2者の症状が多く見られます。脳腫瘍などの脳疾患で見られますが、最も有名なのは、蛇行した血管が三叉神経の基部(脳幹部から出るところ:root entry zone (REZ)と言われる)を刺激することで起こるものです(80~90%)。発症率は人口10万人につき4-5人とされ、男女比は1:1.74で女性に多いとされています。40歳以上の発症が多く、人口10万人あたり、40歳台は3.7人、50歳台で8.9人、60歳台で17.5人、70歳以降では25人と、年齢が上がるほど多くなると言われています。




治療としては、除痛ができればいいので通常はお薬による治療が行われます。カルバマゼピンなどの抗てんかん剤を適当量使用し、コントロールができる方はそれで良いですが、薬が効かない人、眠気などの副作用で薬が続けられない場合、最初薬が効果的であったけれども、次第に聞かなくなった場合などに、外科的治療(手術)が行われることがあります。これはmicrovascular decompression (MVD)と言われ、スタンダードな治療です。また、的確に診断がなされていれば痛みが消失する確率も高く(96.7%)、再発率は6.5%とされていますが、手術を受けるほどの気持ちに患者さんがなってしまう、ことを考えれば、メリットはある治療法と思われます。




また、2015年以降はガンマナイフによる治療も保険適用になっています。

当施設では2015年以降MVDを始めました。この手術では三叉神経の他に、すぐそばに聴神経、顔面神経があります。特に聴神経は牽引など機械的な刺激に弱いため、ABR(聴神経モニタリング)というものが必須です。当施設ではこれらのモニタリングもすべて可能とし、可能な範囲で安全に配慮しつつ手術を行っています。

三叉神経痛の診断はMRIによるものが大きく、多くの施設がそうだと思いますが、当施設では(特に手術を控えるような場合では)、より患者さんにわかりやすい画像を作るためにCT, 血管撮影などの検査も行い、これらから3D画像を作成し、何が原因なのかが患者さんにもわかるような画像作りに努めています。

(以上は、金芳堂 脳神経外科学 改訂12版 Ⅲを参考にしています)