三叉神経痛(trigeminal neuralgia)
典型的なものは、三叉神経に動脈が接して、それが痛みに繋がるというものです。
左の術野から1部を拡大すると右になります。三叉神経に近接する動脈等を神経から遠ざけることが治療です。
すぐ横に聴神経(聞こえの神経)があり、弱い神経なので、ABRという、聴神経のモニタリングを行いつつ手術を継続します。
図2:三叉神経痛の術中画像(右)と術前検査から得られた術中予想画像(左)
血管撮影、CT、MRIから得られた画像と術中画像とを比較すると、大体同じことがわかります。患者さんに同意がいただける範囲で当科では検査を行い、わかりやすい画像を作成して説明をすることにしています。
実線の矢印で示された動脈が右の画像では神経から遠くに移動していることがわかります。手前の動脈(点線矢印)はこの後に移動していますが、三叉神経痛では、神経に接触している構造物を極力神経から遠ざける、という手術が行われます。
図4:三叉神経痛の術中画像(左は術前、中央は術後1、右は術後2)
実線の矢印で示された動脈が右の画像では神経から遠くに移動していることがわかります。点線の矢印で示された血管が(ちょっと見難いですが)、最後には手前に離されていることがわかると思います。聴神経の上に膜がかかっていますが、これはクモ膜です。手術中は重力で脳が落ち込み、神経が重力で引っ張られますので、必要な膜はつけたままとして、極力余計な力が神経にかからないようにする配慮が必要です。