開頭Clipping
動脈瘤の頚部をクリップで閉鎖するので、血液の流入がなくなり、瘤の破裂を防止できる、という理論。
図4:動脈瘤の検査(脳血管撮影)
開頭手術を想定して3D画像を作成します。動脈瘤は赤矢印ですが、実際の手術では前床突起(黄色矢印~頭蓋骨の1部)が邪魔となり、また、静脈も損傷できないものであるため、開頭ではリスクが高い可能性があると思われました。先に示した小さな瘤は開頭でないと処置できないため、患者さんへご説明し、開頭で小さな瘤は処置し、左の瘤が処置困難な場合は血管内手術で後日処置するということでご了承をいただきました(種々のテクニックを使えばできるのですが、未破裂瘤の場合は何も起こさないことが至上命題になりますから、患者さんの安全を優先した結果、そのような話となりました。
図5:1つ目の動脈瘤処置
図6:2つ目の動脈瘤処置
【 図 6 】
Bで見えるように、動脈瘤は前床突起とそれに続く硬膜で覆われ、全体が見えません。これを処置するには「大事な静脈」をよけて、前床突起を削除しなければなりませんが、削除中に静脈を損傷してしまう危険もあります。やればできますが、万が一それで患者さんに不利益があっては困りますので、術前の説明通りここは無理をせず、後日血管内手術で処置を行いました。このように、術前の検査で術中の状況はかなり克明にわかるようになっており、詳細な検査が重要だということがここでもご理解いただけるものと思います。